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可哀相



からだじゅうが、痛かった。

ただ痛いだけだった。

なぜ痛くされるのか、怒りに近い、

しかし怒りではないものが、私に悲しそうな声をさせた。

「可哀相に」

ナカザワさんはみおろしながら、言った。

言ってから、ナカザワさんはたゆたうのを止め、

容赦ない動きを始めた。

終わってから、ナカザワさんはもう一度、

「可哀相に」 と言った。

「何が可哀相なの」

                          

「みんな可哀相」






或る“小説の一文”より




「もうやるのか?」

「おぅ、たまらんよ」
「見てみぃ、挿しごろじゃねぇか」

「散々道具で出し入れしてやったからな」



・・・・・いや



「前か、後ろか?」

「まずは前がええ」
「お前は後ろが好きなんじゃろ」



・・・・・や、やめて



「どうだ同時ってのは?」

「いきなりか?」
「おもしろそうじゃな、やってみるか」



・・・・・ゆるして  ください



「おい 尻を浮かせろ」






好奇

僕が責め画を描きたくなった訳…
ひとつはSMという世界に惹かれ、
その妄想の物語を絵にしたかったから。

もうひとつは技巧的なこと。
それは、純粋な?動機  肉体の描写である。

イラストレーターで山本タカト氏という方がいる。
陰影を使って立体的に表現するのではなく、
「線」で、肉体や表情を繊細に描写している。
デッサンではなくクロッキー的な画風。
氏の描くのは細身な美少年、美少女が多い。
その絵空間からは耽美な綺譚が漂う。

僕は熟した肉感的な躰に惹かれる。
しわ、弛み、肉と筋、、年期が入った躰は人生の深みを感じる。
人にとって衰えは寂しく恥ずかしいものかもしれない。
それを晒したくない羞恥心と、生きた時代に備わった貞操観もまたある。
だからこそ、被虐の対象にしたくなる。

「線」で、その躰を官能的に描いてみたい。と思った。
線が多ければ老ける、表情は哀しく苦しくなる。
その具合を画面で弄んでいる。
その時折々の好みで「線」を増やしたり消したり…。

でも、まだまだ未熟。

浮世絵春画にも感化されたこと。
それはまた次回の機会にでも。






恥態

見ないで…  撮らないで…

自分の発する、懇願の言葉に羞恥の炎が燃え上がる

「ほぅ そうか そうか」

湿って濃くなった紅い布を捉えられる。

冷たい目が注がれる。 …隠しきれない。



「すっぱだか にしてやれ」





肛虐

「これははじめてか?」

 ・・・・・・

「吐き出すのを見ててやる」

 ・・・・・・

「代わりに堅いもので埋めてやる」

 ・・・・・・?

「そう嫌がるな、じきによくなる」

 ・・・・・・ゆるして





刺青

刺青をした。

いや、…自分じゃない。
いや、…本物じゃない。

映画のなかで、刺青を女に施す場面があった。
凄まじい痛みに汗が滲み、唇を噛み、涙する。
全裸で喘ぎ悶えていた。

嘘 の刺青は、蜜を吸いにくる蝶の画。
内股へ水性ペンで描いた。

きめ細かく張りのある肌は描きやすく感じた。
が、…思っていたより難しい。1匹にしよう。
今度は蜥蜴もいいかな。

飾っているのか、汚しているのか。

描き終わって眺めてみる。
妖しさに弥立ちの感が沸いてくる。


おもわず…


…蝶のかわりに蜜を吸う。




刺青01

刺青02JPG

陶酔

少年の頃、近所で開店した理髪店を訪れる。
そこはまだ若い夫婦が営む店だった。
僕への担当は、20代後半の奥さんのほう。

椅子に座りマントで拘束される。
身を任せる準備が整う。
洗髪され、濡れた顔を拭かれ、ハサミで髪を切られる。
一連の作業を真剣に、そして、優しくこなしていく。
台車にハサミを置き、クシを取り、鏡越しに整髪する、その繰り返し。

それをただ、ただ眺めていると、僕の感覚に変化が表れてきた。
耳の後ろから後頭部にかけて重く痺れてくる。
次第に顔の筋肉がほぐれ瞼が閉じてくる。
顎もだるくなり口が弛んでくる、気がついて溜まった唾液を吸う。

でも眠たいわけじゃない、呆然とした脱力感。
この時初めて味わう感覚を、今までに三度だけ経験した。

その共通したもの。

馴染んでいない状況。受け身と加える側。時を刻む時計の音。

そして… 距離のある母性。

その女性に恋心を抱いているのではなく、
例えば、縁側で暖かく優しい陽射しに包まれている感覚に近い。
いつまでも浴びていたい安堵した気持ち良さ。

しかしそれは、勢いよく来店した中年男に遮断されてしまった。

「陶酔した悦楽のつぼ」を求めて、髪の伸びないうちにまた訪れた。
運良くまた奥さんが担当してくれた… けど、期待した感覚はなかった。

どういうものなのか? 今だにわからない。
これが被虐という特性だとしたら…



Mが羨ましく想う。


手篭め

並べられる 淫具の群れ。
残らず 試されるのだろうか。

散々 弄ばれた挙げ句に
あぁ… 犯される。

おさまる気配のない 男達の張り。
おぞましく 身震いする。

整いの終わる予感に 熱くなる。
覚悟の切なさに 堕ちていく。

底知れぬ淫靡な宴が始まる… 

乱される…   濡らされる…。



ここへ連れてこい。





Three persons 2

敷居で区切られた和室
夫は座卓で胡座をかきビールを飲んでいる。

隣室で敷かれいる布団に移った若い男と熟女は横になり、
全裸でお互いを愛撫し求め合う。
たぶん夫の視線はこちらに注がれているのだろう。

妻は大袈裟な喘ぎ声をあげている。
敏感なのではなく夫への奉仕だと感じる。
「ああ~気持ちいい! すごくいい~!」

「お願い、いれて」
正常位で交わり、射精し、果てる。

見計らったように夫が立ち上がり、服を脱ぎ始めた。
裸になった夫がやってくる。
妻を四つん這いにさせ後ろから突く。
妻の口と指は仰向けになった若い男の萎えたペニスを弄ぶ。
突かれながら腰を振り甲高い声で悶えている。

夫は果てた後、微笑みを浮かべながら妻に言った。
「このまま続けてあげなさい」
口と指は激しさを増し若い男を再起させようとしている。
「ああ、もっとほしい~」

「痛い」

妻はその一言で一気に醒め、身を起こし夫の元へ戻って行った。
夫は「私たちは帰るけど、ここでゆっくりすればいいから」
「勘定は払っておくからね」と言って、二人一緒に浴室へ入って行った。
なにやら陽気に会話をしている。

その隙に、手早く服を来て部屋から逃げ出した。

夜道を小走りしているとパトカーがやってきて職務質問された。

知らない駅に辿り着きベンチで始発電車を待つ。
淫らな罪を犯した罪悪感の中で様々な人の顔が浮かんでくる。

もちろん 今は、
罪という意識は微塵もなく、
むしろ、夫婦が共有した嗜好への積極さを賞賛している。

年を経て…、

旅館のロビーで本を読んでいると声をかけられた。
雑談が始まった。夫婦で旅行に来てるらしい。
話が弾んでいる途中「よかったら私たちのお部屋に来ない?」
こういう場合いつも女が声をかけるものなのか。


断った。


なぜなら… 好みではなかったから。



記事と展示画に関連はありません。


Three persons

二十歳そこそこの頃、学生時代の友人に会うため上京する。

居酒屋で飲み、その後、歌舞伎町に足を向けた。
当時話題になっていたテレフォンクラブ。
個室に電話機とティッシュだけが置かれ、鳴ってきた着信に受話器を上げる。

個室は満室で、誰かに先を越されるばかりの時間が過ぎる。
何十回目かで上げた受話器の向こうから「こんばんは」の女の声が届く。
はじまして。
上京したこと、年齢、身分等、会話の詳しい内容は忘れてしまったが、
これから会う約束を取りつけて店を出る。
友人は戦いに破れ一人帰路についた。羨ましがっていた。

タクシーに乗り待合い場所に着いて暫く待ってると、
40前後の女が近寄ってきた。普段着でいかにも主婦のよう。
美人ではないが色気があり上品な雰囲気で悪くはない。
その女が気まずそうに告げた。
「実はこの事が夫にばれて、でも仕方ないと言って、一緒に来てるんです」
え?どういうことですか?
人気のない駅前の路上で車の運転席にいる男がこっちを見ている。

実は、待ち合わせ場所は都心から離れた区の外。
タクシーで五千円ほど払って辿り着いた街はずれの小さな駅だった。
時刻も深夜に近く、辺りは薄暗く人通りもない。…怖くなった。
しかし、その女の色気に惹かれ、一度欲情した気分を抑えられない。

「一緒でもいいって言ってくれてますから」
なんとなく察しがついたが、、どういうことですか?とまた尋ねた。
その問いには答えず「どうします?」と念を押す。
沈黙を置いた後、重く頷いて、女に付いて行った。
セダンの後部座席に乗り、車が動き出し、50前後の夫が口を開いた。
「家内が勝手なことをして、、迷惑をかけてしまってすみません」
「でも起きてしまったことは仕方ないですから、、」
目的地が決まってるようで躊躇なくハンドルを切っていく。
妻は下を向いたり窓の外を眺めたりしている。
程なくして車はモーテルのビニールカーテンをくぐり空室の前に停車する。

無言…。

部屋に入って、「何か飲む?」
緊張して喉が乾いていたので差し出された缶ビールを飲む。
座卓に座り三人腰を降ろすと、夫が場を馴染ませようと、
「東京は初めて?」いえ。「いつ来たの?」「お仕事は?」
ビールを両手で少しずつ飲みながら短く答える。
妻は控えめに頷きながら黙ったまま。

疑い深そうな態度を察したのか、
「刺激がほしくてね」本音が出た。
「こういうことって知ってるよね」…はい、知ってます。
と、物わかりが良さそうに応えた。

夫「シャワーしてくる?」 妻「ええ」
もう帰りたくなっていた。逃げ出したかった。
今までの刺激がもう充分だったのか、早く一人になりたいと思っていた。
この変態じみた状況下に身を置く背徳と嫌悪感もあった。
妻がバスタオルを巻いて出て来て髪を梳かす。
「君も浴びてきたら?」夫が促した。
もう、どうにでもなれ。裸の女を目にして堪念し肝を据えた。

つづく…


本文と展示画の関連はありません。


無題




日常から離れた もうひとつの顔。

それは鮮やかで熱く そして生めかしく美しい。

置き去りにされる惑いで 魅せられる。




牢の中で

女将「ここに来て半年だわね」
和子「・・・・・」
女将「今日でお勤めも終り、、、なんだけどね、本当は」
和子「え?」
女将「実はお願いがあるの、中原先生知ってるでしょ、
   あの方があなたをえらく気に入ってくださってね、
   10日ばかりお借りしたんだって、ついさっき…」
和子「そんな、…お断りしてくださったんでしょ」
女将「でもねぇ、先生は大切な常連さんなのよ」
和子「嫌です、約束が違います、嫌…」
女将「そうだったの?この前はえらくいい声で、ふふ、悶えてらっしゃったのに、
   聞こえてたのよね」
和子「そ、そんなこと、…ないです」
女将「…ごめんなさいね、でも、もう受けちゃったの」
和子「嫌です、、絶対に、…うちへ帰してください」
女将(振り返って)「どうします?先生」
和子(追って振り返り)「えっ?」
  「誰なんですか?あとの二人は、」
女将「・・・・・」
和子「ね、ねぇ、誰なの?」
女将「中原先生のお仲間」
和子「ど、どういうことですか?」
女将「こまったわねぇ、どうしてもね、御三人さん一緒がいいって」
和子「嫌っ、嫌です、、」
女将「そう、仕方ないわねぇ」
  (振り返って)「連れてって」
和子「離して!、嫌、あっちへ行って、、さわらないで、…お願い」
  (仲間二人に引きずられて)


女将「可哀想に」
  「あんまり酷いこと、しないでくださいよ」
  「またあのお薬塗っちゃうんでしょ」
中原「ん?見てたのか?」
女将「あんな喘ぎ声聞いたら誰でも変だと思いますよ」
中原「・・・・・」
女将「ほんと、壊さないでくださいね」
  「ただ、もう… もとの体には戻れないでしょうけど」

女将「可哀想に」


ひさびさの

新作です。

余暇の合間に創作していますので
頻繁なわけにはいきませんが、
ぼちぼちとマイペースで…。

過去作品も展示していきたいと思います。


プロフィール

鐸(たく)

Author:鐸(たく)
中国地方在住。
50代男性。
自作の緊縛画、責め画を展示し、
その想いや色事を綴っています。
18歳未満のかた、
不快と感じられる方の
閲覧はご遠慮ください。

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色々なご意見やご感想もお待ちしております。
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